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負動産と呼ばれる家を、なぜ買うのか|空き家地方創生・宮前が語る、空き家再生を続ける理由

文:空き家地方創生話し手:宮前(取締役CDO)
瀬居島の近くから見た瀬戸内海

売れない。使われない。
持っているだけで負担になる。

取締役CDOの宮前がよく口にする「負動産」です。

空き家地方創生は、そうした空き家や遊休不動産を直し、宿として運営しています。2026年9月現在、再生・運営している宿は12棟です。

なぜ、わざわざそういう家を買うのか。

空き家地方創生が家を見るとき、最初に考えるのは、その建物がどう使われるべきかです。

泊まる家にするか、住む家にするか、地域の拠点にするか。
同じ空き家でも、使い道によって残せるものが変わります。

宮前は、空き家地方創生の共同創業者です。いまも物件の仕入れから施工、地域との関係づくりまで、現場の最前線に立っています。

今回、その宮前と一緒に、これまで関わってきた家をいくつも巡りながら話を聞きました。
その様子をまとめたのが、動画「なぜ、空き家を見るとワクワクするのか?|空き家再生を続ける理由」です。
この記事では、動画の中の言葉を拾い直します。

傷みより、使い道を見る

動画の中で、宮前が最初に案内するのは100年の古民家です。

「これが100年の古民家で、見た瞬間買ったってやつ」

宮前が指さしたのは、部屋の上の欄間でした。
細い柵が並んでいます。

宮前によると、江戸時代の遊郭で、女の人が上から「おいでおいで」と手招きするような柵。

それがちょっと面白かったから買った、と宮前は言います。
木の建具も扉も、全部が良かったそうです。

古民家の前で、手ぶりを交えて柵の話をする宮前
100年の古民家で、欄間について話す宮前

別の家では、宮前は「ここが元々この辺までゴミがあった」と手で高さを示しました。

ゴミが積まれていた高さを手で示す宮前

空き家を前にして宮前が話すのは、建物の古さや中の傷みよりも、その先のことです。

「この建物をどう活用したらどうなるか、みたいなのがワクワクする」

空き家を見るときは、どう活用したら面白くなるかがいつも頭の中にある、と宮前は言います。

そして、こう続けます。

「負債って言われてるものを、地域の人と一緒に、なんか役立つものに変えたときに幸せを感じるんで」

地域の人が本当に喜んでくれたとき、「報われたな」と思うそうです。

2024年4月から2026年8月までに、空き家地方創生の宿には5,254名のゲストが泊まりました。

国の調査による平均の旅行支出で換算すると、地域にもたらした経済効果は約3.6億円(推計)になります。

※ゲスト数は2024年4月〜2026年8月18日の確定予約の集計(キャンセル分を除く)。経済効果は、観光庁「旅行・観光消費動向調査」(2024年)の国内宿泊旅行1人1回当たり旅行支出69,362円(交通費等を含む)で換算した推計。

建物より先に、場所を見る

動画では、海の見える物件にも立ち寄ります。
建物を見る前に決まった物件です。

坂出の工業地帯を車で抜けて、カーブを曲がった瞬間。
視界が開けて、海が見えました。

宮前はすぐに車を止めて海のそばに立ち、「ここめっちゃいいじゃん」と思ったそうです。

物件を見たのは、そのあとでした。

岸壁に立ち、海の向こうの瀬居島の町並みを眺める宮前

「ほら、こっちから見てもいいでしょ」

カメラに向かって、宮前は街並みのほうを振り返りました。

直すところから、人を入れる

瀬居島の宿は、完成してから人を呼んだ家ではありません。
直すところから、人に入ってもらった家です。

Instagramでリノベーションを手伝ってくれる人を募り、壁の漆喰塗りに来てくれた一人が宇田川です。

そこから一緒に仕事をしようという話になり、宇田川はいま取締役CTOとして、宿運営の仕組みづくりを担っています。

壁の漆喰は、集まった仲間がみんなで塗りました。

オープンまでのあいだに、いろんな人が集まってきた場所だと宮前は言います。

瀬居島の宿で、漆喰の壁に手を当てて話す宮前
仲間と漆喰を塗った壁が残る、瀬居島の宿

宿として動き始めた瞬間のことを聞かれて、宮前は少し考えてから答えました。

「なんか寂しい」

住みながらリフォームを入れ、出来上がるまでそこにいました。

自分たちの家のようだったそうです。

地域の人とも、毎日行き来するようになっていました。

その家が、人を泊める宿になりました。

地域の信頼を裏切らない

この仕事でいちばん大変なことは何か。動画の中でそう聞かれて、宮前は「人」だと答えています。

「簡単に僕ら地域と溶け込んでるように見えるけど、まだ受け入れられない時期っていうのは、やっぱり多少あったりするんで」

何者か分からないうちは、地域の人もそんなに優しくありません。
瀬居島でも、最初は怒られました。

関係を築けるまでには、時間がかかります。

空き家を宿にするときのことを、宮前はこう話します。

「地域の人たちの信頼を裏切らないようにしないとダメだなっていう風に感じるんで」

応援してくれる人に迷惑をかけない。
むしろ、喜んでもらえる場所にしたい。

「それぐらいの気持ちがあるんで」

「毎年来てくれたら嬉しいよね」

動画では、瀬居島の宿の近くに住む方にも話を聞いています。

瀬居島の宿へ続く石段を下りる宮前の後ろ姿
瀬居島の宿の近くで

海でバーベキューをしに、子ども連れで来る人もいます。

この地域で良かったと思ってもらえたら嬉しい、と話してくれました。

「リピーターが増えたら嬉しいけど、どうかな。毎年来てくれたら嬉しいよね」

瀬居島の宿の和室で話す宮前

動画の最後に、宮前はこう話しています。

「ご近所が家族だとしたら、家族みんなが来たお客さんと、わいわい楽しくできるような場所作りっていうのを目指してるんで」

「そういう風に思ってる感じですかね」

動画「なぜ、空き家を見るとワクワクするのか?|空き家再生を続ける理由」は、YouTubeでご覧いただけます。

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