創業ストーリー
なぜ、この事業を始めたのか。
空き家は、目的ではありません。「地方はもうダメだ」という空気を、事業で覆すための道具です。
創業のときに何を考えていたのかを、そのまま書きます。
うまく言葉にしてこなかったことを、書きます
僕は、想いを言葉で語るのが得意なタイプではありません。現場に足を運び、地域の人と話し、手を動かして事業を進めることはできます。でも「なぜこの事業をやっているのか」「どこを目指しているのか」という根っこの部分を、きちんと伝えきれていないもどかしさがありました。
会社が大きくなり、仲間もパートナーも増えていくのは、素直に嬉しいことです。その一方で、創業のときの「なぜやるのか」が薄れて、ただ効率のいい不動産オペレーションで終わってしまうことを、いちばん怖いと思っています。
もともとは社内に向けて書いた文章です。ただ、これから一緒に仕事をする方にも同じものを読んでいただいたほうが早いと思ったので、ここに置いておきます。
空き家は目的ではなく、道具です
僕たちがやっていることは、空き家のリノベーション事業でも、不動産投資でもありません。
日本中に広がっている「地方はもうダメだ」という諦めを、事業で崩すこと。そして、自分たちの手で新しい共同体をつくり直すこと。空き家は、そのための強い道具にすぎません。
知ってしまった現実と、資金の壁
始まりは、不動産業を通じて目にした「全国に溢れる空き家の現実」でした。最初は「困っている人の相談に乗って、何か役に立てれば」という、ささやかな問題意識からのスタートです。
ただ、現場を知るほどに分かったのは、買い取って、直して、地域が動くところまでやるには相応の資金力が要るという現実でした。飛び込む機動力と実行する力はあっても、当時は資金の制約があり、「お金が貯まってから、いつかやろう」と足踏みをしていました。
竹尾と組んだことで、動き出した
停滞を破ったのは、共同代表である竹尾との出会いでした。
足りていないものが、きれいに逆でした。
どこへでも飛び込める機動力。地域の方の懐に入る交渉力。泥臭く事業を前に進める力。
ビジネスでの実績に裏打ちされた資金力と、事業構造を俯瞰する経営の視点。
「資本」と「現場実行力」というパズルのピースが噛み合ったことで、僕たちの構想は「いつかできたらいい夢」から「いま取り組むべき勝負」へ変わりました。
「地方はもうダメだ」への反発
僕たちがいちばん強い怒りを覚えているのは、過疎地域や地方に漂う「どうせ過疎化は止まらない」「地方はもう衰退するしかない」「東京一極集中が正しい」という、諦めの空気です。
僕自身、田舎の出身です。地方の原風景を知っていて、愛着を持っている当事者だからこそ、外から綺麗事を言うだけの立場ではなく、地方の側に立つ当事者として、本気で盛り上げたいという気持ちがあります。
村から、町へ
竹尾との間で、最初から共有している構想があります。
大きすぎると笑われるかもしれませんが、本気で目指しています。
- 01集落ごと引き受ける(村をつくる)
空き家1軒ではなく、エリア内の複数の空き家や集落ごと引き受けて、独自の生態系を持った「村」をつくる。
- 02村どうしをつなぐ(町へ広げる)
点在する村をネットワークにして、経済の循環と人の流れを生む。自治体や地域の事業者と組みながら、町の規模へ広げていく。
- 03経済と文化が、地域の中で回る
お金も、仕事も、人も、地域の外へ出ていくばかりではなく、地域の中で回り続ける。そこまで到達して、はじめて「再生した」と言えると思っています。
※ 行政に代わるものをつくろうとしているわけではありません。地域のパートナーと組んだうえで、民間側でできることを最後までやる、という意味です。
誰もやりたがらない領域で、全員が勝つ
誰かがすでに敷いたレールを走るつもりはありません。狙っているのは、手間がかかって誰も参入したがらない、泥臭くてしんどい領域です。
そこを、ボランティアではなく事業として成立させます。
- 事業収益性
- 善意や補助金に頼らず、事業として、きちんと利益を出す。続けるための条件だと考えています。
- 地域還元
- 事業で得た利益を地域に落とし、地元の経済と雇用の循環を本気で生み出す。
- 関係者の利益
- お客様・地域・パートナー・スタッフ・役員。関わる全員が利益を得るモデルにする。
最後に
僕たちは、単なる不動産再生をやっているのではありません。「空き家」という道具を使って、地方創生のパイオニアになるための挑戦をしています。
これから組織が大きくなる中で、業務のオペレーション化や目の前の数値に追われる瞬間もあると思います。それでも、僕たちのすべての判断の根っこには、この「諦めへの反発」と「新しい共同体をつくる」という野望があります。
この想いに共鳴して、一緒に泥をすする覚悟でワクワクしてくれる仲間と、誰も見たことがない未来をつくっていきたいと思っています。僕たちの挑戦は、まだ始まったばかりです。
空き家地方創生株式会社 取締役CDO 宮前 昌弘
「これは相談していい話なのか」という段階で構いません。
